Artisan keycap "Abu Simbel” ができるまで
久しぶりにアルチザンを作ったのでその記録として(手順とかレジン用量とか塗装色をほいほい忘れるので)作業工程をつらつら書いていこうと思う。
そもそもArtisan keycap "Abu Simbel”って?
これ。買ってね。
できるまで
モチーフは頑張って考える。降りてくるのを待つ
ざっくり手順
- 原型を作る
- シリコンで型を取る
- レジンで複製
- 塗装する
- クリアレジンに沈める
- 仕上げ
1. 原型を作る
$ynthの土台にもりもりスカルピーを盛る。適当にヘラとかカッターとか使う。
今回はクリアレジンに沈めるので、外側を一回り小さく作り、クリアレジンの層分のスペースを空けておく。
細かい部分はうまくヘラが入らないから爪楊枝をいい感じに削ってヘラ代わりにして作る。
完成したらヒートガンで炙って硬化させる。 *1
2. シリコンで型を取る
基本的に粘土原型では離型剤は使わないでそのまま$ynthの外側パーツをつけて行う。シリコンは減圧脱泡して気泡がなくなってから流し込む。
モチーフ原型と外側クリアレジン層用SA R1原型、軸受用原型、それぞれ一緒にシリコンに沈める。
クリアレジン層用の外側のシリコン型について: kouryodo.hatenablog.com
↓
今回はクリアレジンに沈めるキーキャップなのでクリアレジン層を作成する時用の軸受側シリコン型も作る。
3. レジンで複製
まずはモチーフ型を使用し、モチーフの複製を行う。
A液、B液ともに2.5gぐらいで計量。黒インク1滴、しっかりと混ぜてから注ぐこと。
注ぐ際に正面右の彫像頭部分はシリコン型が奥まった形になっていて気泡が残りやすいので、先にそこの壁面沿いに数滴垂らすことで頭のてっぺんまで伝わせるように入れる。
シリコンは減圧脱泡を行ったがレジンは圧力鍋を改造したやつで加圧脱泡を行う。
レジンを注型後、静かに圧力鍋に入れコンプレッサに繋げ加圧、大体0.2MPaぐらいまで上げる。
加圧10分ほどで取り出し。概ね固まってるが爪で押すと変形するぐらいには完全ではないので変形させないように型から取り出ししばし放置。
完全硬化後、底面バリを適当に落とす。最終クリアレジンに沈めた後きれいにするのでほどほどで。
神殿入り口は薄くレジンで塞がっているのでカッターで切り開く。
4. 塗装する
塗装の前に、神殿の入口を裏からマスキングテープで塞ぐ。
基本的にシタデルカラー。今回、使用する塗料は以下5種類。
左から
- BASE MORGHAST BONE
- LAYER SCREAMING SKULL
- DRY PRAXETI WHITE
- SHADE CASANDORA YELLOW
- SHADE AGRAX EARTHSHADE
塗装に関しては何かを説明できるほどよく知らんので工程写真を貼るだけにしときます。
ただ、クリアレジンに沈めると直接見たときより全体的に 薄い印象になるの少し濃淡を過剰気味に塗る。
5. クリアレジンに沈める
クリアレジン用シリコン型に塗装したモチーフを嵌め、裏側から$ynthの軸受パーツで固定する。特にモチーフとシリコン型との隙間が開かないように。
次にクリアレジンの用意する。A液、B液ともに3gぐらいで計量。
A液に砂塵をイメージしてダイソーのミラーネイルパウダーを入れる。 量は極々少量、ボールスパチュラの半球分くっついただけで十分。
A/B液を混ぜたら一旦シリコン型に全量注ぐ。そのあとそこから撹拌棒ですくってモチーフ側に塗っていく。
特に以下に気泡が残りやすいので沈める前にレジンを塗る
- 正面彫像右 頭の裏
- 正面彫像左 足の間
- 神殿入り口
- 天面 各ブロックの隙間と各段
- 右側面 柱と柱の間
- 背面 崩れた部分
塗りたくったらそのまま逆さにしシリコン型にゆっくり下ろす。特に液面にモチーフが触れる際が要注意。
複製と同じく圧力鍋で加圧脱泡して硬化したら取り出す。 クリアレジンは硬化時間が長いので15分ぐらい加圧して、そのあと栓を締めて更に15分。計30分ぐらいは加圧した状態にしてから取り出す。
取り出し後もまだ柔らかいのでゆっくりシリコン型から抜き出し静置する。仕上げ作業は24時間以上経過後に行う。
6. 仕上げ
湯道のとことか底面のバリをひたすらヤスる。 ヤスって平らになったらガラスの爪磨きで磨く
最後にシリコン型を取る原型の段階でかなり磨いているのでそのままでも十分綺麗だが一応コンパウンドで磨く。
コンパウンドつけて指でひたすら擦る。
磨き終わったら完成。
後書き
今回の量産はどうせ作ったあと忘れる、と思って何かしらで記録を残すつもりで始めた(それがこのブログ)
今回はそういった経緯もあって各工程(1~6)を1日ずつで行う感じに進めたのでその日やる作業工程が少なくやりやすかった。 私は集中力がないのですぐ別のことに意識が持っていかれてしまう。そしてそういうタイミングでしょうもないミスをする。ちゃんと計画して手順を明確にするって大事デスネ。
それとレジンの硬化待ちと各工程を1日ずつ進めるのがちょうどよかった。もっと早くこういうことをすればよかったと後悔。
それと書いてる途中で外側のシリコン型は別にした方が良さそう、と思い先にそちらだけ公開した次第だったりする。 そこから一部写真が足りなくてそれだけ追加で写真撮ろうとしてる間に部屋の模様替えを始めてしまって撮るに撮れなくなって公開まで間が空いてしまい今日に至る。
モチーフについては、アブシンベル神殿の”ラムセスデイ”、年2回朝日が差し込む日からアブシンベル神殿をモチーフにした。(びあっこさん正解!!)
結果、バックライトが入り口から漏れ出るので実際とは逆になってしまったが、裏がまで抜けるトンネル構造は結構きれいに出来て満足。
以上
この記事はALETH42 + H1 Switch + TYPEAU.40 Planck Edition で書きました。
道具・材料
以下道具とか材料のリンク
アフィリンクもあるんで適当に見て
$ynth
アルチザン作家御用達キーキャップ用作成治具
以下のサイトで買えます。
:~$ynth 1u – Hunger Work Studio LLC
いくつか種類があるけど種類についての解説は以下のhdbxさんのツリーが分かりやすいので貼っておく。
O = OEM or flush stem, G = inset stem (matches GMK inset), R = notches, P = plain (no notch(es))
— その中年男性は肉を食う (@hdbx) 2019年9月7日
SPやOEMのキーキャップはキーキャップのほぼボトムまでステムがあるけど、GMKはそれより少し短めのステム。Rは従来のNorth方向の凹みありでPは凹みなし。
粘土
グレイスカルピーというのを使っています。オーブントースターとかで焼くと固まる粘土。焼かなければ固まらないのでいくらでも造形ができる。
ちなみに上の解説の通り私はオーブンじゃなくヒートガンで熱してる。
ペトロール
グレイスカルピーの軟化剤として使用している。 練り込んでもいいし、筆とかで塗って表面をなめらかにしたりする。
シリコン
クリアレジン層用の外側のシリコン型について: kouryodo.hatenablog.com にも載ってるけど、ボークスのクリアシリコン。
レジン
モチーフとクリアで別々のレジンを使ってる。どちらもポリウレタンレジン
複製用
クリア
特にクリアは圧力鍋に突っ込む前に気泡対策でベース側にもかけたりするのにちょっとねっとり硬化が始まるのでこれを使ってる。
ポリウレタンレジン系で他のは気泡の抜けが悪かったり硬化が早かったりで今の所これに落ち着いた。
ヤスリ
底面の湯道をヤスリがけするのに使用。ヤスリ面が広いのと机において使えるので普通の棒ヤスリより使いやすい
爪磨き
ガラスの爪やすり。いくつか安いのを買ったけど大体どれも同じような感じなので適当に安いので良さそう。
コンパウンド
いっぱい入ってるって理由だけでこれ使ってる。磨けてるから多分大丈夫なはず。
なんかいいのあったら教えてほしい。